本計画はゴルフ場をグランピング宿泊施設へのコンバージョン。敷地は長野県飯綱町にある昭和後期の飯綱東高原リゾート開発地の一角にある公営のゴルフ場であり、目の前には霊仙寺湖と飯縄山の美しい景観が広がる場所である。
本来のグランピングとは、欧米の貴族層が手付かずの自然を体験しに行く事を起源としており、 今回の計画を進めるにあたって、サスティナブルで環境負荷の低いアプローチを行う事とした。既存を活かした改修とはいえ、新たに作り変える行為は実際には大量のゴミも発生させてしまう事になります。
そこで既存物は「元々其処に在った物」として肯定的な「記憶」として保存する為に、 同一色で塗装して過去の輪郭として現す事にした。 その上で、宿泊施設として成立する為の造作を木・鉄・石・革の「土に還る素材」で必要最小限に抑えた構成とした。
この様に過去の乱開発によって生まれたまま、時を経て生きる目的を失ってしまった施設は多くある。 今回行った手法は過去の記憶のまま時代に取り残された建築に新たな役割与える方法を模索した結果である。